2015-01-01から1年間の記事一覧

2015年のクリスマスに読んだ本

先日、〈夢中になって本を読むごっこ〉を久しぶりにした。 夢中になって本を読むごっことは、その名の通り、夢中になって本を読む姿勢を競う遊びである。 電車内で夢中になって本を読んでいると、いつの間にか電車が終点に到着する。そのまま夢中になって読…

生まじめと不まじめについて

「生まじめ」と「不まじめ」というのはコインの裏と表に喩えられる。 生まじめというのは単体で成立する観念ではなく、不まじめとセットになっているものであり、逆もまたしかりだ。 ふたつの相反する観念はつながっていると考えると、まさにコインの裏と表…

放り投げたレモンは落ちる

放り投げたレモンは落ちる《諺》 ―放り投げたレモンが地面に落ちるように、予想できることをすればその通りに事が起こるさま。 この前、レモンを持ってみた。 レモンを持ってみると、会う人会う人に「何持ってるんですか」と尋ねられる。 こちらはそれを期待…

今日思ったこと

100年前の世界が見られるって、考えてみたら異常なことだ。でも僕たちはそれに慣れている。それに慣れた感覚からいえば、むしろ100年後の世界が見れないことのほうがおかしい気がする。100年前の世界が見える程度には100年後の世界も見えるべきだと思う。そ…

みんなリトルプリンスを見ればいい

「リトルプリンス 星の王子さまと私」を見た。とてもよかった。原作未読の人もまずは映画館に行ってほしい。後悔しないと思う。見てから原作を読んでもいい。言っておきますが「星の王子さま」は人生の必読書です。 原作を読んだことがある人はどうしても見…

慇懃無礼マン

自分は失礼を働くことができない。 誰かと同じ空間にいると、その間中、相手に嫌な気持ちを起こさせたらどうしようという不安に抑えつけられている。知っている人だったらどの程度が失礼になり、どの程度までがお巫山戯で済ませられるのかがわかるからだいぶ…

いかに悠長なことを言っていられるか

「ノーカントリー」という映画がある。 アカデミー賞に選ばれた映画で、監督はコーエン兄弟。原題は「No Country for Old Men」、コーマック・マッカーシーの同名小説を原作にもつスリラー映画である。 物語の筋は追跡劇である。カウボーイ生活をしているル…

クリスマスをひかえて

気がつけばクリスマスまで一ヶ月を切っている(これを書いている時点で11月27日)。 気がつけば期日が迫っているというのは万人に共通する時間感覚かどうかわからないのだが、自分に限っていえば、確実にそうだといえる。何事も、いつも、いつの間にか通過寸…

「お笑い向上委員会」を見た

「お笑い向上委員会」というテレビ番組を見た。司会者は明石家さんま。踊るさんま御殿のスタイルを踏襲しながら、ゲストをお笑い芸人で固めた硬派なトーク番組だ。 トーク番組とはいいながら、番組の大半をがなったりどなったり大笑いしたりしている。テンポ…

中毒者の言い分

最近調子がわるい。僕は気分が下向きのときは体調がわるいことにしているんだけど、それでいうとなかなか体調がわるい。 これは裏を返せば、自分の気分を上向きにできれば、わるい体調を解消できるということである。実際僕はこれまで何度も崩した体調をこの…

松本大洋「SUNNY」を読んだ。

松本大洋の「SUNNY」を読んだ。この漫画はつよくおすすめしたい。 6巻が最終巻ということで、ちょっと寂しい気もするけど、勝手なことを言っていてはいけない。 読み取ることのできるすべてがサニーのなかで展開されていたのだから、寂しくなったら読み返せ…

「おそ松さん」というテレビアニメをシェーして見ている

「おそ松さん」というアニメも面白い。もとの原作はアニメの「おそ松くん」ということになるだろうか。おそ松くんを始めとする松野家の六つ子が成長し大人になり、「身体は大人、頭脳は子供」とでも言うべき有様で変わらない日常を過ごすというのが物語の世…

「すべてがFになる」というテレビアニメを見ている

「すべてがFになる」というアニメが面白い。 もとの原作が面白いのだろうと思うが、アニメになってより面白くなっているような気がする。演出が冴えている。 話の面白さで勝負するのではなく、演出の冴えで魅せよう、原作を越えようという野望を感じさせるア…

短く話すことが出来ない

短く話すことができない。あー。とか、おー。とか言うのはできる。恋愛について話せとマイクを渡されても、なにがしかのことを一曲分ぐらい話したりできる。でもその間の「ちょうどいいサイズ」の発言がどうにも苦手だ。どこかにそういうのツマランという意…

理想のタイプは清水さん

理想のタイプは?という質問は多い。誰しも口を開けば二言目にはこの質問だ。僕はその都度、相手に合わせた回答を拵えようとして常に失敗をしてきた。相手に気を遣った結果相手を困らせることになるという悲喜劇はもう懲り懲りだ。理想のタイプは?という質…

3ない1ある

正しさを美しさと混同しない。 しようがないと思う瞬間に一番強く思っているのはしようがなくなんかないということなんだけど、そんな思いにもかかわらず状況はどうしようもないからこそしようがないと思っているわけで、そうすると口に出すのはしようがな…

ホームレス小説「ニッチを探して」を読んで

島田雅彦の「ニッチを探して」はホームレス体験小説である。 現代の東京を舞台にこれほど異世界的かつリアルな物語が描けるということにまずは驚く。お金がないというだけで、東京という街の様相はまったくちがって見える。コンクリートジャングルのサバイ…

「こころ」に見るエゴイストの告白

告白をするかどうか 「こころ」の第三章にあたる「先生と遺書」では、先生の暗い過去が語られる。 それは先生の友人Kの自殺に関係する話である。同じ下宿に住んでいた先生とKは同じ相手に恋をする。下宿先のお嬢さんである。 ある日、Kはそのことを先生に告…

小説「彼岸先生」を読んだ

とんでもない映画を見た時の興奮というのはものすごくでかい。僕はそのでかさに対しては一ミリの疑念さえ抱いたことがない。とにかくその衝撃、とんでもなさ、感動、なんとでも名付けようのあるそれにはただただ圧倒されるのみである。しかし、その圧倒され…

【書評】「僕は問題ありません」宮崎夏次系

宮崎夏次系という漫画家を知ったのは、星野源のラジオかなにかをyoutubeで視聴してだった。星野源は「変身のニュース」と作者の宮崎夏次系を推していた。 僕は本屋に走り宮崎夏次系のコーナーで「僕は問題ありません」というタイトルに惹かれてそれを手にと…

軽薄

自分が軽薄な人間を演じている感覚というのはあるわけです。 一方で、軽薄な自分を演じているということを根拠にして、自分はそこまで軽薄なわけじゃないと考えようとしている軽薄さもあるわけです。これは両方あるわけで、前者と後者をつなげて考えればそ…

わからないということ(2)

わからないということを大事にしてほしいと思います。 わからないことを、わからないという理由で顧みない大人は残念ながらたくさんいます。 大人はなんでもわかるはずというのが子供時代の幸福な幻想だというのは、高校生にもなった君たちにはもうわかって…

ぼくのかんがえたさいきょうの私の個人主義

自分が影響を受けたものといえば数え切れないほどあるし、そもそも数えることができない。自分でも知らないうちに影響を受けていることなんていくらでもあると想像される。 しかし、その中でも、自分自身これには影響を受けたと断言できる文章がある。影響を…

サイズ感

自分の服のサイズをきっちり把握するところからオシャレは始まる。 これ着たいあれ着たいだけではオシャレさんにはなれない。自分には何が似合うのか、何が似合わないのか、つねに己れに問わねばならぬ。 文章における文体もそれと同じで、かっちりフォーマ…

インヒアレントヴァイス(2ヶ月ぶり2回目)

映画を見ていると、映画を見るときの方法で映画を見るのが普通になる。 ちょっとナニ言ってるかわかんないと思う。解説しよう。 映画を見ているとだいたい登場人物が出てくる。登場人物が出てきたらだいたいその人物は何かを喋る。いわゆるセリフというやつ…

わからないということ

イキってジャズを聴き始めてからひと月が経った。 わずか一ヶ月前のことなのにきっかけがなんだったか忘れてしまったのだが、とにかくジャズを聴けるようになりたいと思って、毎日のスキマ時間にジャズを流した。流したといってもアイフォーンのイヤフォーン…

音楽性のちがいを認めるかどうかのちがい

音楽性の違いを理由に解散するバンドは多い。それが表向きの理由で、実際には人間関係のドロドロが二進も三進も行かなくなっての解散だったとしても、理由を音楽性の違いということにしておくバンドが多いのは、なんとなく音楽性の違いということにしておけ…

マグリット展の感想

このまえマグリット展を見に行った。シュールレアリスムというものの良さが自分にはわからないということがはっきりした。シュールは好きではない。たとえば、シュールな笑いだというとき、全然シュールじゃないだろうと思うことが多い。笑うし面白いのだか…

ザ・マスターの笑いどころ

映画『ザ・マスター(原題) / The Master』予告編 - YouTube 45秒でわかる映画「ザ・マスター」のあらすじ 第二次世界大戦の終戦後、出征兵士だった青年フレディ・クエルは、新規まき直しとして新しい職に就こうとするがどうもうまくいかない。どの仕事も…

鈍器のようなやさしさにブン殴られ

明治時代に自然主義文学というのが流行した。見聞きし、感じたことをありのままに書くのが文学であるという主義だ。「ありのまま」なんてきくと手垢のついたギャグのようにしかとれないけれど、当時の文学者は大真面目で自然主義を標榜していた。実際に自然…