3ない1ある
正しさを美しさと混同しない。
しようがないと思う瞬間に一番強く思っているのはしようがなくなんかないということなんだけど、そんな思いにもかかわらず状況はどうしようもないからこそしようがないと思っているわけで、そうすると口に出すのはしようがないのほうになる。思いと口から出る言葉が真逆になる。嘘つきといわれてもしようがない。
正論が気に食わないわけではない。
正しいことはその正しさゆえにいくらでも口に出すことができる。遠慮無く言ってよい。そういう無遠慮な態度が気に入らない。正論そのものはべつに嫌でもない。
美しいことを言うべきだ。なぜなら美しさを生産することになるから。しかし美しいことが共通のものになっていくとある地点で正しいことに変わる。そうするとそれを言う顔ぶれも変わる。さっきまで別の場所でちゃきちゃきと正しいことを大声でがなっていた人が今度はこっちでがなりだす。うるさいのでさっきまで美しかったことは正しいことに格下げされる。その人は美しさを消費している。
人と目を合わせてはいけない。
人と目を合わせて話をするというのはタブーだった。それは無礼なことだと思っていた。ムカつく人間がいたらそいつから目を逸らさず視線で刺し殺そうとするし自分の目には力があると思っている。見ることを重要視している分だけ。相手に敬意を払うのならあんまり視線に晒すべきではないと思っている。自分に敬意を持っているから視線を晒すべきではないとも思っている。何を見るかを重要視している分だけ。
既知感がある。
知っているだけでわかってはない。知ってる。でも、わかってないからといって知らないことにはならない。