2015-01-01から1年間の記事一覧

グレーゾーンの重要性について

物事の白黒をつけないでいる態度というのは重要だと思う。こうやって白黒つけられない領域の話をするとすぐに飛び出すのは、グレーという色である。白とか黒とかいうのはたとえの話なので、グレーを持ち出すのは正しい。なあなあとかどっちつかずとか、そう…

センチメンタルを遠くはなれて

蟻の世界について考えをめぐらせるというとき、気分次第ではあるにせよ、深い感慨に誘われる。なぜなら蟻は小さく、懸命に生きているからだ。そこに同情をおぼえないわけにはいかない。しかし、蟻のように必死で懸命に生きたいかといえばそんなことはない。…

散文的な読み方と主題的な読み

誰しもが自分の考え方や人生への接し方に自信を持っている。面と向かってそう言われると、あるいは、自信があるわけではないと応酬するかもしれない。しかし、それは自分の考え方や人生への接し方について自分というものを離れて見ることがないだけであって…

黙っているだけでは慎重さは身につかない

僕は普段から黙っていることのほうが喋ったりしていることより多い。 では黙って何をしているかといえば、べつに何もしていない。何もしていないといっても無になっているというわけではない。いちいち人に言うことでもないような雑多なことをしている。雑…

海街diaryをみた

海街diary 映画『海街diary』公式サイト | 大ヒット上映中 映画「海街diary」をみた。今年度ベスト級のおもしろさだった。いや、今まで見てきた映画の中でもベリーベスト。それほどの衝撃を受けた。カンヌで賞を取れなかったのは本当に残念。今年の審査員長…

キレ芸の条件

最近キレてますか。そう訊かれて動きのキレを確認した人はよっぽどのお人好しなんでしょうが、そっちのキレではなく、ブチ切れるのほうのキレです。できるだけキレないように、落ち着き払って、にこやかに生きていきたいものです。しかしそうは言ってられな…

正しいインスピレーションと楽しいイントネーション

概念がある。概念はない。 頭のなかに概念がある。目に見える場所に概念はない。 たとえばインスピレーションというのはひらめきとも言い表すことができる概念である。インスピレーションのしっぽをいつも追いかけているような気がする。いつかインスピレー…

質問上手は生き上手

夏目漱石に「夢十夜」という短編がある。「こんな夢を見た。」という文章から始まる夢の話を十並べた小説で、幻想小説として有名な作品である。夢の話というと、退屈な話の代名詞にもなるぐらい、一般につまらないと思われている。現実感というものが物語に…

瞬間の美学

日々の面白というのは大変によわい立場にあります。というのも、面白とは、それを面白として認識する人がいてはじめて面白なのであって、誰にも認知されないでただただ光り輝く天然自然の面白というのは存在しえないからです。 一瞬一瞬というのは本当に一瞬…

分別ざかり

分別ざかり サルトルの「自由への道」を途中まで読んだ。 第一部は「分別ざかり」といって、主人公のマチウがある選択を迫られる3日間の話だ。舞台は1938年6月のパリである。高校の哲学教師のマチウは自由を信条として生きる34歳、彼に迫る選択はパートナー…

ゴミだらけの路地

本が好きということと、自分が好きな本が好きということの間には大きな溝がある。音楽が好きということと自分が好きな音楽が好きということも同じだ。映画も、テレビも、絵も、なんでもそうだ。僕は本が好きでよく本を読む。しかし、それはどんな本でも活字…

何事もコンディションに応じるということ

自分が面白いと思う物事は体調のよさに支えられている。 面白いことのほとんどはある程度の負荷がかかる。そういう負荷がかからないと、何か物足りないということになるんだと思う。無条件に、何の労力もなく、ただただ与えられるだけの面白さは、いくら量…

あざとさに対する感度

世間では「あざとい」といって何かを厭わしい目で見るような場合がある。僕にはその意味がわからない。やりすぎとかドヤ感とか狙いすぎとか衒ってるとか、そういう負のニュアンスの綜合だということはわかるんだけど、あざとくてなにがいけない?と思ってし…

口偏に虚しい

嘘だったら何を言ってもかまわないと思っている節がある。逆に、嘘じゃないとしたら言っていいことは限られると思っている。ぼくはどんなことでも言いたい願望を持っており、嘘じゃないことを言うときの言う/言わないの取捨選択が負担になることを知ってい…

登場の方法

どんな登場の仕方をするか。 それは現代人にとって極めて重要な問題です。 何かの場に現れるとき、姿を見せる瞬間、それがその会見全体の出来不出来を大きく左右する。 登場がバッチリ決まっていながら全体の印象がイマイチに終わるということはまずないし…

青の時代

「青の時代」という言葉がある。ピカソの画風を時期によって峻別するとき、ピカソみずから「こっからここまで青の時代な」と言ったらしい。ピカソの絵はあんまり知らないけど「青の時代」という言葉は言い得て妙だと感心した。たしかに人間誰しもそういう時…

音楽のこと

最近、ゆらゆら帝国ばっかり聴いている。 ゆらゆら帝国 / 発光体 - YouTube 僕は自分で思ってるよりも音楽が好きなんだということを最近知った。 移動の時間には必ずといっていいほど耳にイヤホンをさしているし、部屋でも音楽を聴いてないとき以外はいつも…

バードマンの話

このまえ見たバードマンという映画がとっても面白かったので、バードマンという映画の話をする。 バードマンという映画は、バードマンというハリウッドスーパーヒーローに変身するイケてるおじさんが、時の流れによってヨボヨボではないけどおじいさんの入…

愛・笑い・異常

「パンチドランク・ラブ」という奇妙なラブコメ映画を見た。僕はラブコメではあまり笑えない性質というか、ぶっちゃけ何が面白くて「ラブ・コメディ」というジャンルが成立しているのかもよくわかっていない。笑いたいのかロマンスを見たいのかどっちなんだ…

玉虫色のモチベーション

最近、動機不純ということについて考えている。 正しい動機、清く正しく美しくという動機がある一方で、人に言っても通用しないような動機がある。だが、動機がなんであれ結果が良きものになればそれでかまわない。結果良ければすべて良しである。そもそも動…

愚にもつかないことをつい口にしてしまい後になってそのことを思い出して落ち込むという嘘

愚にもつかないことをつい口にしてしまい後になってそのことを思い出して落ち込むということはないだろうか。 ある。 僕の口癖に「なるほどね」というのがある。相槌を打つときに、あまり気がない場合、ついつい「なるほどね」と言ってしまう。気がないとは…

きのう見た虹

ぼくは悪態をつきたい……ぼくは悪態をつきたい……— キリーロフ (@Kirillov_bot) 2015, 3月 8 僕は善意の場所で過ごしてきた。誰もが善意にあふれているとはいかないまでも、基本的におたがいの善意を元にして対人関係を築くような、悪意というのは例外的なふ…

今日の日の思い出

今日、帰りの電車でラッキーなことがあった。そこそこ疲れて座席に座ると、左隣にきれいな女の人が座っていた。 自分が乗車したのは始発駅だったので、その後、発車時間近くになると右隣にもだれかが座ってきた。きれいな女の人だった。その人の顔は見なかっ…

ピースのかけら

つなげて考えようとしてしまうのって何なのだろう。 いろいろのことが起こると、それらのあいだに因果関係や、なにかしらのつながりを感じ取ってしまうことがある。実際にはなんの関係もなく、つながってもいないとしても、そういうつながりはあるように思え…

正しい犬の鳴き方について

犬はワンと鳴くというのはこれはもう言わずもがなの常識である。 ところが、犬はワンとは鳴かないのである。しかも、これはこれであたり前田のクラッカーなのである。この世界はややこしい。 こういうことを言い出すと、わかる人には何を今更顔をされるし、…

ヒッピーハッピーイェー

このあいだ、とある奇妙な居酒屋に行って見知らぬ人たちとお酒を飲んだ。 どこか得体の知れないところがあるような人たちだけど、その分、優しそうでもある人たちだった。僕はお酒を飲めば全員友だちと常日頃から考えているので、最初のほうは謎の居酒屋の…

チェーホフ一読のすすめ

僕は別に、何か特別なものになりたいとも思わないし、偉大なものを創りだそうという気もないけど、ただ、生きつづけて、夢を見、希望をもち、どんなところにでも遅れをとらずに駈けつけたいだけなんだ…… ロシアには偉大な作家が三人いる。トルストイ・ドスト…

「やさしい人」

フランスといえばおしゃれの代名詞である。フランス映画ともなると、これはもうおしゃれの権化である。ミニシアター系の映画の中でもフランス映画はハイセンス加減が半端無く、シネフィル気取りの鉄板である。ミニシアター系の映画館で何を見るか迷ったとき…

リズムが求められるとき

こないだの日曜日、ホドラー展を見に行ってきた。 去年、日曜美術館というNHKの番組でホドラーが取り上げられているのをたまたま見て「これは見に行かねば」と思って見に行った。が、期待感が高すぎたのかそこまで強い印象を残さなかった。 というより、日曜…

前進だけが能じゃない

今回は一番言いたいことを書こうと思う。 「前進」について。 気づいたのだけど、僕の周りには前進することが必要だと思って日々生きている人たちがたくさんいる。前へ進むことを規律として自分に課している人たち。彼らは習慣の力も借りているのだろうが、…