愚にもつかないことをつい口にしてしまい後になってそのことを思い出して落ち込むという嘘

 

愚にもつかないことをつい口にしてしまい後になってそのことを思い出して落ち込むということはないだろうか。

ある。

僕の口癖に「なるほどね」というのがある。相槌を打つときに、あまり気がない場合、ついつい「なるほどね」と言ってしまう。気がないとは言っても会話に興味が無いわけではなく、思いがけないタイミングで思いがけないことを言われた場合などに「なるほどね」が飛び出してしまうのだ。 僕としては「(そんな考え方があるんだ、へえー)なるほどね」というニュアンスになればと思っているのだが、不意のことに驚いているのもあって、口調がややぶっきらぼうになてしまう。そうすると受け取られるニュアンスも変化してしまい「(なんか言ってるけどよくわからんな、でもまあわかってる感じにしといたれ)なるほどね」という風になる。

それってあんまりじゃないか、と思ったので、この一ヶ月「なるほどね」を禁句にする遊びを発明して、遊んでいた。 はじめて間もない頃なんかは気を抜くと「なるほどね」が出そうになる。その都度、「なある」「なるほえー」などとモゴモゴ言って誤魔化してきた。

そんななか、とくに疲れていたときに「なるほど」まで出てしまい、どうしようもなくなって「なるほどな」と言おうとしたけど偉そうに聞こえるとまずいと思い、もう諦めて「なるほどね」を使っちゃおうと思って出たのが「なるほどにゃ」だった。一瞬の逡巡があったため「にゃ」の部分が強調される結果になってしまい、相手とマブかったらツッコミのひとつでもいれてもらって難なく幕だったところを、たとえようもない静寂をもたらす結果になってしまった。その瞬間は頭がフリーズしたのか意外と平気だったんだけど、家に帰ってボーっとしているとき、そのことをふと思い出してひとりで顔を赤くすることになった。というのは全部嘘なんだけど、あの時こう言っておけばな〜とか、あそこでこう切り返せたな〜とか、帰りの道を歩きながら考えるともなく考えるのって結構たのしいものだと思わないだろうか。

思う。