登場の方法

 
どんな登場の仕方をするか。
それは現代人にとって極めて重要な問題です。
 
 
何かの場に現れるとき、姿を見せる瞬間、それがその会見全体の出来不出来を大きく左右する。
登場がバッチリ決まっていながら全体の印象がイマイチに終わるということはまずないし、反対に、登場がうまく決まらなければ全体の印象を満足なものにするのはむずかしい。よくて「まあまあ」。それ以上のものにするのは至難のわざである。
テクニックにすぐれた者ならば、あえてサラッと登場して徐々に仕上げていくという方法を採ることができるが、素人がそれを真似するのはオススメできない。
登場の仕方(と余裕があれば退場の仕方)にさえ気を遣えば、あなたはすべての会見で光り輝くことができる。これは断言していい。
すべての会見である。飲み会、合コン、初デート、会議、犯罪現場、初登庁、お見合いパーティー、面接、セレモニー、裁判など、シーンを選ばない。
 
登場というのは相手と顔をあわせる瞬間のことだ。ここで相手を呑んでしまえばしめたものである。少なくともガツンといきさえすれば相手に呑まれることはない。
 
1.武器を用意する
丸腰で登場するのは愚の骨頂である。登場時に何も持たないのは武士が刀を持たないようなもので、見る人が見れば「お前なにしにきたの?」といって恫喝されることも充分あり得る。俺は刀を持たないとかいって達人ぶるのはバガボンドの読みすぎ。たしかに面白い漫画だけど今バガボンド関係ないよね?
武器といってもそれは文字通りの武器では当然ない。スタンガンとか用意しないように注意すること。
何でもいいから手に持って「それなに?」と尋ねさせることをとりあえずの目的にする。
 
2.シチュエーションをつくる
とにかく「ヤバい」を連呼しながら登場する。
何かが起こったことをアピールして「どうしたんですか?」と尋ねさせる。
内容は突飛であればあるほどよくて、超科学的なことが身に降りかかったなど、世界観を用意していく。たとえば「今日が繰り返されていて今2回目なんだけどどうしよう?」など。
そういう細かい設定が面倒くさかったら左腕骨折でもいい。利き腕を折ると不便なので注意すること。
 
3.言葉で謝りながら背筋は伸ばす
まず謝らないといけない状況をつくる。遅刻が適当である。登場時に「遅れてすみません」と言う。この時、本当に申し訳ない気持ちになってはならない。そうなっては意味がない。ただの遅刻してきた奴になってしまう。
そこで大事なポイントがある。謝りながらも相手から目を逸らさない。腰も折らない。むしろいつもの2倍ぐらい姿勢をよくする。朗々とした声で「遅れてすみません」と相手の目を見つめながら言う。そうするとコイツやるなという雰囲気になる。
 
4.嘘をつく
相手と顔を合わせた瞬間に相手の名前を呼んで「何々さん、死ぬほど会いたかったですよ!」と言う。その人が好きな有名人だというテンションで言うこと。複数人いる場合は時計回りで同じセリフを言っていく。ひとりひとりと握手しながらすると自然な感じになり効果的。
まちがえてサインしてくださいと言ってしまわないように注意する。
 
 
どの方法を採るにしても、大事なのは相手の登場の仕方は完全に無視すること。それ以外のすべての場面で相手を立てても、ここだけは譲れないという強い気持ちで登場することが何より大事です。
人生は舞台、人はみな役者という言葉もあります。
みなさんも頑張って登場していってください。
 
退場の仕方についてはいずれまた。