もっと頂戴

 

社交辞令を言われると嬉しい。

なんだかんだ世の中の人たちは優しいので機会があれば僕とも喋ってくれる。
そんなに仲良くないのに話しかけてくれる人たちは本当にすごいと思うし、僕なんかには本当に輝いて見える。
でも僕にも頑張ろうと思う時はある。
僕はあまり仲良くなってない人相手にはどうしても緊張してしまうのでだいたい天気の話をする。〈天気ですね・天気じゃないですね・天気ですかね〉この3パターンで成立する天気の話はなんだかんだ鉄板だ。ただし、天気の話はめちゃツマラン上に推理能力のある人にはめちゃツマラン人間であることを見抜かれる危険がある。
 
そんな時に身につけておきたいのが社交辞令だ。
たとえば僕はよく人から頭が良さそうと言われる。そう言われると「いえいえそんな!」みたいな反応をするけど内心嬉しくてしょうがない。
とはいえ僕もそこまでバカじゃないのでそれが社交辞令だと分かっている。その人から見て僕の頭良さそう要素は「メガネをかけている」ことぐらいなので、それが社交辞令じゃなくて本音だと考えることのほうが難しい。
しかし僕は大概バカなのでその難しいほうの解釈を採用する。
あんまりよく知らない人から頭良さそうに見られた!とちょっと無理して思うようにするのだ。
結果、嬉しくてしょうがなくなる。べつに社交辞令だろうがなんだろうが実際嬉しくなってるんだったらそれでいいじゃないかと開き直る。社交辞令は軋みがちな人間関係を円滑に回すための実践的な知恵だ。社会的にも奨励される立派な行為だ。それで喜んでなにがわるい。
とにかく、わずかな隙間を見つけて褒め言葉をねじ込んでくるセンスには脱帽するほかない。
 
じゃあそんな風に僕を嬉しがらせる社交辞令を、僕自身あまり知らない人相手にやってみたらいいんじゃないか。少なくとも天気の話をするよりはマシなんじゃないか。
そう思うけどなかなか思うようにいかない。
どうしても僕はいつも本音で喋ろうとしてしまう。今まで生きてきてまともな社交辞令を使えたためしがない。
ほんとに能天気でしようがない。
 
あなたはどう思いますか? 忌憚なき社交辞令をお寄せください。
お待ちしております。